司法統計から読み解く競売物件の減少理由とは?
司法統計の最新版「平成29年(2017年)」からのデータ。
担保不動産事件および強制競売事件とも近年減少傾向にあります。
その理由とは・・・。
競売物件減少の理由は2つある
ひとつは、金融機関の返済条件の緩和。
2013年のモラトリアム法終了後においても、金融機関の資金供給や貸付条件の変更などの取り組みは現在も続いていると言われています。
その証拠に、2017年~2018年3月末までの住宅ローン貸付条件の変更の実施件数は26,093件。
その前年までの条件変更受理件数の累計は約44万件になります。(金融庁発表)
そしてもうひとつの理由は、旺盛な任意売却件数の増加です。
今までは住宅ローンが払えなくなった物件のほとんどは競売により処理されていました。
ところが競売市場の拡大と認知またサービサーや専門家の登場によって、近年、競売知識の普及に伴う債権者との直接交渉による任意の売却が広く行われるようになりました。
このような競売による物件取得の需要が増加したことにより、競売申立前に任意売却が促進された結果といえます。
競売取下件数はほぼ横ばいで推移している
担保不動産競売事件はリーマンショック後(2009年)に一度増加したものの、その後は減少傾向が続いています。
減少率は2017年時点で22.4%。
取下割合はほぼ例年2割の割合となっています。
同じく強制競売事件も毎年減少。2017年時点で37.3%。取下げ率はは約半分の5割となっています。
極端な金融期間の条件変更は考えられない
このような競売市況を取り巻く環境は当分は続くのではないでしょうか。
“極端な貸付条件の変更や急激な金利上昇などもあり得ないだろう”と金融機関関係者は言っています。
ただ、多くの金融機関は債権の取り立て期日をゆるくしているだけなのでこの先の動向は気を付けたいところです。
ある日、突然に延命措置が解除され大量の競売物件が市場にあふれるかも知れません。
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