自己破産したから人生終わりじゃない。必ず笑える日が待っている。
年に数回程、破産手続きによるご自宅の処分(売却)を依頼されることがあります。
自宅を手放す心境。ご本人しか決して分からないことです。
初回面談はとても空気が重く辛くなります。
ご自宅の売却となると査定が必要になります。
ご挨拶を兼ねてはじめてご自宅を訪問します。
プランターの花は手入れがされ、倉庫に日用品やいろんな道具が置いてあります。
玄関を開けると無造作に脱ぎ捨てられた子どもの靴。
廊下にはおもちゃが散乱しています。
まぎれもなく今ここで生活をされています。
その生活している人のぬくもりに確かに包まれる瞬間です。
このマイホームを手放さなくてはならない…。
どんなにつらいことでしょうか。心が折れそうなくらいの空気が流れていきます。
未知の出来事ばかりで不安に押しつぶされそうです。
自宅を手放さなければならなくなった。
そこにはいろんな事情があります。
病気や事故、リストラ、離婚に死別など様々な理由。
やがて、金銭的余裕がなくなってしまいます。
ローン会社から督促の電話。
競売申し立てなどの通知。
毎日が生きた心地がしません。
近所など周囲の目も気になり、子どもたちのことを考えて眠れません。
次から次に起こる“未知の出来事”に気が変になっていきます。
初めてのお客様との面会。
このような現在の状況を、涙を流され堰を切ったように一気にお話されます。
だれかに聞いてもらいたいんです。
ときには3時間も4時間もずっと話を聞いています。
もう涙も枯れています。
近況が綴られた懐かしいお名前。うれしい手紙がやって来る。
“もうなにもかもおしまいだ”
“生きていてもしかたない”
こんな言葉も飛び出します。
必ず再起できると信じます。そして、ひとつひとつ課題を乗り越えていきます。
最善を尽くしたけれど、思うような結果に至らないこともありました。
それでも「冬はかならず春となる」です。
故郷を離れ遠くに行かれた人もいます。
封筒のうらに書かれた懐かしいお名前を拝見して嬉しくなります。
家族元気に生活されている様子が書かれています。
“この春中学生になりました”
同封された家族写真。
みんな満面の笑顔でした。
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