変わる賃貸借契約における“連帯保証人と保証契約”
120年ぶりに大規模な民法改正が行われました。
債権法も見直され、賃貸借契約においても実務に大きな影響を及ぼします。
“極度額240万円”引き受ける連帯保証人はいるのでしょうか?
保証契約は、書面(電磁記録)で行わなければなりません。
連帯保証人は、保証契約書に署名・押印していれば、賃借人の不履行に対して責任を負わなければなりません。
今回、新しくなった保証契約に追加された項目は“連帯保証人の極度額設定”。
この極度額を明記して合意のもと、契約を交わさなければなりません。
極度額とは、保証責任の上限額のことです。(責任限度額)
例えば、家賃10万円の部屋を契約して借りました。
やがて賃料の未払いが始まり、2年間も滞納状態になってしまった。
保証契約には、「極度額240万円・賃料の24ヶ月」で記名押印している。
連帯保証人は、240万円を家主に支払わなければなりません。
※実際、極度額は家賃の1年~2年分で設定されることが多いです
今までは、ぼんやりしていた連帯保証人の責任。
極度額が明記された保証契約。その高額な金額に驚きます。
連帯保証人は、サインするのをためらいます。
“入居審査が厳しくなる”部屋を借りられない人が増加!?
この連帯保証人が死亡するとどうなるのか?
仮に、家賃等の滞納がなければ“元本ゼロ”で確定です。
この時点で、実質的に保証契約は終了してしまいます。
こうなると、連帯保証人の人的担保として役目は使えなくなってしまいます。
高額な極度額を前に尻込みする連帯保証人。
一方、人的担保としての役割を果たさない保証契約を危惧する家主さん。
今までは、保証人がいたので安心して高額な不動産を貸すことができた。
けどこれからは、保証人があてにならない。
予想されるのは、大家さんの厳格な入居審査。
高齢者や母子家庭など、住宅困窮弱者が増えるのではないでしょうか。
家賃保証の利用、セーフティーネットの活用など、事業者としての努力が必要です。
始まったばかりの新民法のもとでの社会。
賃貸市場の動向を注視しなければなりません。
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