“管理費は払うけど遅延損害金は払わないよ”これって正しいの⁉
マンションの管理費を、長期にわたって滞納している。
その滞納者に対して競売を行なった。
落札者は不動産業者。その不動産業者いわく。
“滞納管理費は支払うが、遅延損害金は払わない”
これって正しいことなのでしょうか?
遅延損害金は支払うべきものである
滞納管理費はきちんと支払う。
しかし、遅延損害金までは支払う必要はないのでは?
たしかに、正論に聞こえます。
一般的に、管理費の滞納問題は当事者と管理組合との話し合いで解決が図られます。
そして、判例等では、遅延損害金は支払うべきものであるとされるようです。
争点となることは、間違いないようです。
その理由として、下記のようなことが挙げられる。
・滞納者がいること自体がマンション価値を低下させる
・管理組合は共同体でありその秩序を乱す行為である
・滞納管理費の回収には膨大な手間と時間そして費用がかかる
こうして、管理組合等が遅延損害金を請求するのは、このような滞納者を未然に予防するため、心理的圧力をかける意味合いを持つようになりました。
いわゆる、抑止論的な効果を狙うものそうです。
分譲マンションの法律“区分所有法8条”
分譲マンションなどの法律を定めた、区分所有法という法律があります。
その区分所有法8条には、
「債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」とあります。
先述した、競売落札者である不動産業者は、この法律に照らせば特定承継人となる。
よって管理組合が、落札者(特定承継人)であるこの不動産会社に対して請求するのは当然と言えそうです。
すなわち、管理費及び修繕積立金の滞納金とそれらの遅延損害金を含めて請求することが可能であるとの見識です。
差し押さえなど強行手段も仕方ない
それでも遅延損害金を支払わない。
こんな時、管理組合はどのように対処すればいいのでしょうか?
(答え)理事会で強行採決する。
例えば、共有設備である駐車場や駐輪場などの使用を一切不可とする措置など。
さらには、もう一歩踏み込んで、差し押さえの手続きをする。
差し押さえが可能になるのは、遅延損害金は区分所有に付随するものであるとの認識ができるためです。
遅延損害金の利率はいくらでもいいのか?
ところで、遅延損害金の利率はいくらで請求できるのでしょうか。
管理規約に、定めがあればそれに従います。
管理規約などに、定めがない場合は、民法所定の5%となります。
一般に、利息といえば14.6%と消費者契約法が引き合いに出されます。
しかし、管理規約は“消費者と事業者との間で締結される契約”ではありません。
従って、年14.6%を超える利率を課しても有効であると言えます。
ただし、あまりにも高い利率を採用される場合は注意が必要。
判例で、公序良俗に反するとして退けられたケースもあります。
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