“地中埋設物”瑕疵担保責任を免れたのはなぜ!?
購入した土地を掘ったら、大量のコンクリート片などのガラが出てきた。
この大量のガラ(基礎部分など)を撤去するには、多額の費用がかかってしまう。
これは、隠れた瑕疵にあたるので売主に請求しなければならない。
建物閉鎖謄本の添付と物件状況等報告書の告知
もし、売主および不動産仲介業者が調査も報告もせずに、物件を買主に引渡してしまったら、地中埋設物の撤去費用をはじめ賠償責任をとらなければなりません。
今回の事例においては、具体的な埋設物の内容を説明していたことから、隠れた瑕疵にあたらないと裁判所から認められました。
その内容として、本件土地に旧建物基礎を発見していたことや地下室があったことを、契約時にしっかり告知していたこと。
さらには、告知書に建物の閉鎖登記簿謄本も添付していたことから、この土地上には過去に登記簿記載の建物があったことが容易に認められるであろうと判断されたからです。
また、買主の契約時の姿勢にも疑義があったことが挙げられました。
その疑義とは、「地中埋設物を過小評価」し、かつ売主らに対して、何ら質問等も行わなかったことでした。
不動産仲介業者として、買主ならび売主のそれぞれの立場にあった業務の遂行をしなければならないと決意する事例となりました。
この事例に、大切なヒントが隠されていると痛感します。
・令和2年5月27日 東京地裁判決 アットホームタイムより参照
地中埋設物を自ら撤去した売主さんとの思い出
この判例を読んで、数年前に取引させていただいた売主さんを思い出しました。
この売主さん、街はずれに広大な土地を購入して自宅を建てました。
しかし、あまりに土地が広いので一部を売却することに。
仲介を依頼され、早速、地中埋設物などを含めた土地の調査をスタート。
結果、過去に土建業者が工事現場で出たガラなどを、今回の売却予定地に埋めていた可能性があることが判明した。
私からその報告を聞いた売主さん。
なんと数日後には、自ら重機を運転され地中埋設物をすべて撤去されました。
この売主の男気ある行動で、気持ちがいい取引が出来たことは言うまでもありません。
しかし、だれもが真似できることではありません。
改めて地中埋設物に関する事前調査の重要さを感じた件でした。
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