成人年齢が18歳になった未成年者の所有権移転(不動産取引)はどうなる⁉
民法改正により、2022年4月から成人年齢が現在の20歳から18歳に引き下げられます。
2002年4月2日生まれ~2004年4月1日生まれは施行日に成年に達します。
2004年4月2日生まれの以降の人は18歳の誕生日に成年に達することになります。
成人に達すると未成年者取消権が使えません
今までは、未成年者は親の同意を得ずに行った契約を取り消すことができました。
この未成年者取消権は、成人に達すると当たり前ですが、行使できなくなります。
“未成年者が法律行為をするにはその法定代理人の同意が必要”
未成年者の法定代理人とは、親権者あるいは未成年後見人がなります。
親権者の父母が婚姻中であれば両親双方であり、一方が親権を行使できないとき(死亡や離婚等によって)は、その一方が親権者となります。
親権を行うものがいない時は、後見がスタートする
未成年者に対して親権を行うものがないときは、後見が開始します。
未成年者に対して最後に親権を行うものは、遺言で未成年後見人を指定することができます。
なお、未成年後見人の指定がない場合は、家庭裁判所が未成年後見人となります。
またはその親族、その他の利害関係人の請求により、未成年後見人を選任することになります。
未成年が売主である場合の不動産取引はどうなる?
①法定代理人が未成年者を代理する場合
法定代理人が親権者である場合、親権者(登記義務者)が登記申請人となる。
・親権者の印鑑証明書(3ヶ月以内発行)
・戸籍謄本(代理権限証書・3ヶ月以内発行)
の添付書類が必要になります。
➁未成年者が登記申請する場合
未成年者自身が売買契約(売主)をする場合は、未成年者自身の3ヶ月以内の印鑑証明書が必要になります。
・ポイントは、法定代理人の同意を得ること。
・法定代理人の同意書を添付しなければなりません。
※15歳未満は印鑑登録ができませんので要注意
[①と➁共通する添付書類]
・登記原因証明情報
・登記義務者の登記識別情報または登記済証
・買主の住民票
・委任状等が必要となります。
施行まで3年。トラブルも予想される不動産取引。
成人年齢引き下げの民法改正施行まで、あと3年ほどあります。
先述したように、成人に達すると未成年者取消権が行使できなくなります。
18歳になれば自分の意志で、自由に様々な契約ができるようになります。
人生経験もまだ少なく、乏しい知識の中で、安易な契約を交わしてしまい大きなトラブルに発展していくことも予想されます。
そこに、目を付けた悪意ある人間があなたを騙すかもしれません。
不動産取引もさることながら、日常の契約などに対しても、十分に留意するよう専門家として、広く呼びかけていかなければなりません。
※この記事は、2020年12月に書かれたものです。
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