2020年09月17日
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事例にみる自然災害による建物の損害~問われる工作物責任~
日本は台風の国。
近年、巨大台風による被害も繰り返されています。
自然災害によって建物に損害が出た場合、宅建業者にはどのような責任が問われるのでしょうか?
事例に見る~温室のガラスが飛散し隣地車両を破損
台風によって、自宅の1階に設置した温室のガラスが割れて飛散しました。
その飛び散ったガラスの破片が、隣地の車両に当たって損傷させてしまいました。
判決は以下の通り。
“…本件温室の窓ガラスは、温室として通常有すべき安全性を備えておらず、本件温室の設置保存の瑕疵があった”と結論。
すなわち、建物所有者の責任が裁判により肯定されるに至っています。
しかし、この判決に建物所有者が反論。
“観測史上最大の強風であり、想定外であったから不可抗力である!”
この建物所有者の反論に対し、裁判所は次のように述べました。
“わが国では台風を始めとする強風は大型を含めしばしば発生しており、本件事故時の強風が従来から観測されている強風と質的に異なるものではない”
さらには、
“実際、事故当日の強風によって周囲の建物ガラスが破損した形跡もない。…事故当日が超大型台風並みであったことをもって、想定外とか不可抗力であるとは言えない”
そして、裁判所が出した結論。
“本件温室の設置保存に瑕疵があったことを左右しない”。
宅建業者として注意しなければならないこととは
事例のような温室ガラスをはじめ、近年は見栄えも良く採光性も優れたガラス張りのお洒落な建物が増えています。
台風はもとより、少しの強風でも、ガラスが破損する可能性は増えています。
自分の建物は大丈夫!
安易な考えは、戒めなければなりません。
とくにガラス面が多い建物は、安全性に十分な注意が必要です。
宅建業者として、管理上の安全面についても十分なアドバイスが必要です。
日常の心がけなければなりません。
備えあれば憂いなしです。
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