自宅を売却せずに、老後の資金を調達する方法
リタイアしてからの人生も長期化になりました。
長生きすることは、それだけお金も必要だということです。
そこで、自宅という資産を活用した、老後資金の調達方法を3つお伝えします。
①不動産担保ローン(自宅を担保に借入れする)
マイホームを担保にして、金融機関からお金を借りる方法です。
不動産担保ローンの利点は、完済すればそのまま自宅を財産として残せます。
また、自分の意志だけで借入れができ、相続人らの同意もいりません。
対してデメリットは、完済まで返済負担がずっと続くこと。
さらに、万一、返済ができなくなってしまえば、自宅を失ってしまうことです。
(不動産担保ローンを活用した資金調達手段の特徴のまとめ)
※資金調達方法:一括で借入れ
※自宅の居住形態:所有して居住
※返済の要否・方法:利息と元金の返済が必要
※自宅の将来動向:所有継続(原則返済している限り)
※借入限度額の目安:評価額の70~80%
※生前の定期的な支払い負担:元金+利息
※相続人の同意:不要
※資金使途の制限:少ない(自由度が高い)
不動産担保ローンは老後資金だけでなく、事業用資金の調達手段としても有用である。
不動産担保ローンを取り扱う金融機関等はたくさんあるが、中には悪質な業者もいるため、長年お付き合いのある金融機関等にご相談されることをおすすめします。
②リバースモーゲージ(死後、自宅を売却して借入金を返済)
リバースモーゲージも、自宅を担保に金融機関から借入れする点では、不動産担保ローンと同じです。
ただ、不動産担保ローンと大きく違う点があります。
それは、借入金の返済をしなくていいことです。
詳しく言えば、生きている間、利息だけ払い続ければ、元金の返済は据え置かれるということです。(金融機関の商品によっては利息払いもしなくてよい場合がある)
もちろん、そのままマイホームに住み続けることが可能です。
リバースモーゲージの利点は、借入元金分の返済がなくて家計負担が少なくすみます。
元金の返済は、死後に自宅を売却して返済するか、もしくは現金で一括返済する方法があります。(生前に繰り上げ返済することも可能)
また、リバーズモーゲージの特徴として、債務を配偶者に引き継げるため、配偶者がそのまま住み続けられるといったメリットもある。
反対に、完済するまで返済負担が続くことや、万一、返済ができなくなれば、自宅を失ってしまうといったデメリットがあります。
さらに、長生きすればするほど、借入金限度額までいっぱいにお金を使ってしまい老後資金が不足するケースも考えられます。
(融資限度額は定期的に見直されるため、自宅の価値が下落すれば借入残高が限度額を上回ってしまい差額分の返済を求められる)
リバースモーゲージを活用した資金調達手段の特徴を、以下にあげます。
※資金調達方法:融資限度額まで適時借り入れ
※自宅の居住形態:所有して居住
※返済の要否・方法:死後、売却等により利息及び元金一括返済もしくは現金一括
※自宅の将来動向:将来的に売却予定
※借入限度額の目安:評価額の50%程度
※生前の定期的な支払い負担:利息のみ(ない場合も)
※相続人の同意:必要(よって資金調達まで時間がかかる)
※資金使途の制限:多い(自由度が低い)
※要件:契約者本人 55歳以上 ある程度の金融資産がある人(もしくは安定収入)
※目的:契約者および配偶者の生活資金(事業、投資は不可)
※担保となる不動産:全国の戸建住宅、マンション
※融資限度額:2億円以内(使途自由資金の場合、4000万円以内)
※資金受取方法:一括、分割など
先述したように、不動産下落時には融資限度額も下がるため、超過した元金分を返済しなければならなくなる点は、特に注意が必要です。
(この場合、超過した元金は1年以内に返済しなければならない)
③リースバック(先に自宅を売って賃借する)
不動産担保ローンもリバースモーゲージも、自宅を担保に金融機関から借入れする方法で、いずれも自宅を売却せずに資金を調達する方法です。
最後に説明するリースバック。
これは、上述した2つの方法と大きく違い、自宅を売却して資金を調達する方法です。
売ってしまうので、当然に、所有権(自宅)は人手にわたることになります。(買戻し特約をつけて自宅を買い戻すこともできる)
しかし、売却して家を手放したあとも、そのまま自宅に住み続けることが可能。
(正確には、賃借して居住することになります)
また、先の2つの方法と違って借金ではないので、債務の負担感がありません。
同様に、固定資産税等の税金の支払いもなくなるので気分も楽になります。
デメリットは、リースバック業者による買い取りのため現金化が早い反面、売却価格が低くなることです。
また、自宅として住んでいた家が、売却後は賃借することになるため家賃の支払いが生じること、家を使用する自由度が制限されるといったデメリットも。
賃借するといっても、一生住み続けられるとは限らないので、賃貸借契約のときは慎重に内容を精査すべきである。
リースバックを活用した資金調達手段の特徴を、以下にあげます。
※資金調達方法:自宅を売却して代金を受け取る
※自宅の居住形態:賃借して居住
※返済の要否・方法:なし
※自宅の将来動向:売却
※借入:なし
※生前の定期的な支払い負担:家賃
※相続人の同意:不要
※資金使途の制限:ない
3つの老後の資金調達方法をあげましたが、活用方法は様々です。
また、これら3つの方法が最善策とは決して限りません。
ご家族でしっかりと検討を重ねることをおすすめします。
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