賃貸マンションに独居老人を受け入れるときの準備と心構え
高齢化がますます進む日本の社会。
核家族世帯から単独世帯へ移行していく現在。
それにともない高齢者の独居世帯も増えてきています。
築25年の管理マション、入居当時は元気な60代でした。
新築時からご入居いただいていたTさん。
昨年、骨折が原因で介護が必要になり退去されました。
平成4年に完成したマンション。
入居当時は、まだまだ元気な60代。
着物をめされる品のあるご婦人でした。
ご主人とは死別、ひとり息子さんも独立されて都会で暮らされていました。
場所がいいからとこのマンションにご入居頂きました。
あれからマンションも築25年が経過。
Tさんも80歳を超えていました。
折あるごとにお邪魔していたのですが、段々と耳が遠くなるのを感じていました。
それでも歩いて買物もよく行かれていたようでした。
そんなとき、近所にセブンイレブンがオープン。
いちばん近い買物の場所となり頻繁に利用するようになりました。
雨が降っていたある日、セブンイレブンの床で滑って横転。
足の骨を折る重傷を負い、救急車で搬送されました。
真っ先に連絡がきたのは、当社でした。
すぐにオーナーさんに報告。
遠方の息子さんにもやっとの思いで連絡がついたのを今でも覚えています。
3ヶ月近く入院生活を送られ、結局、マンションには2度と戻ることなく息子さんに引き取られていきました。
お部屋の明渡しから原状復旧もすべて、息子さんが責任を持ってやってくれました。
あとから分かったのですが、親子関係は疎遠状態が10年以上も続いていたようでした。
「これがきっかけでおふくろのそばにやっと居てやれる。」
「最後の親孝行になりそうです。」
息子さんの言葉に、スタッフみんなで涙してお別れしました。
独り暮らしの高齢者の入居受け入れはどうすればいいのでしょうか?
まずは身元引受人がちゃんといるかどうかが一番重要です。
そして契約時にはしっかりと連帯保証人を確認することです。
不慮の事故や病気など緊急時に、身内の方にいつでも連絡がとれる状況を確認しておくことです。
これほど安心なことはありません。
身寄りのない高齢者に対してNPOなどが保証人になってくれる場合もありますが、トラブルが起きたとき対応しきれない場合もあります。
親族の保証人が見つからない場合は、入居を断る決断も必要です。
一般的な賃貸マンションの管理下で全てを対応することは不可能だからです。
日常的によく注視する、そして情報を共有する。
なお、日常的に注視しておく必要があります。
管理会社は定期的に巡回するので、状況をオーナーさんも共有しておくことが大事です。
毎月の管理報告書にもしっかりと目を通してください。
また定期清掃をする作業員も、ご入居者とよく接触されているので異変に気づくことが多いようです。
デイサービスを受けられている高齢者もいますので、サービス提供先の会社の連絡先も知っておく必要もあるかもしれません。
最近では、一人暮らしの高齢者のお部屋に、センサーをつけることもあります。
このセンサーはある一定時間、ひとの動きがなければ事前に知らせてくれます。
費用は大体1セットあたり、4万~5万円ほどで設置可能です。
毎月、定額で利用できるサービスなども普及してきています。
いちばんに避けたいのは、孤独死。
発見が遅れるほど、部屋の毀損(損傷)が激しくなります。
場合によっては部屋全体をスケルトンにしなければならないこともあります。
その費用も高額。ワンルームでスケルトン工事に2~300万円必要です。
孤独死に対応するリスク管理として、入居者保険があります。
万一、孤独死が発生した場合、家主がその被った損害の保障を受けられるものです。
家賃保証や現状回復費用もカバーされた保険をおすすめします。
入居時また更新時にきちんと加入しているか、管理会社に問い合わせてください。
人は誰しもいつかは亡くなります。
それが高齢者だとその比率が高くなるのは自然の摂理です。
最善は孤独死にさせないことではないでしょうか。
亡くなったとしても、すぐに発見でき対応できる体制をつくっておくこと。
日頃からの連携と情報共有が大切です。
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