見た目は普通の道路。けど中身は普通じゃない道路。“駆け出しのころの失敗談”
家を建てるとき、その敷地と道路の関係は非常に重要です。
不動産屋として駆け出しの頃のことです。
その道路の扱いでとても苦労した苦すぎる思い出があります。
マイホーム実現への夢を背負っている。
私がはじめてご紹介いただいたお客様。
当時は賃貸マンションにご夫婦と小さいお子様の3人でお住まいでした。
2人目のお子様の出産を控え、念願のマイホーム建設へ一緒に動き出しました。
いろんな土地をご案内して、精一杯ご提案をさせていただきました。
ほどなく建築プランも固まり、ついに土地の契約までたどり着きました。
土地契約が終わり、勇んで金融機関へ住宅ローンの申し込みに走りました。
公衆用道路だから持分までは必要ないですよ。
事前に金融機関の担当者とはやり取りをしていました。
今回の購入予定の土地は、昭和30年~40年にかけて民間の開発業者が手掛けた大規模な造成宅地。
区画整然とされ、道路も立派な開発道路が通っていました。
金融機関の担当者も現地を確認されたうえで、
「地目も公衆用道路だし(位置指定が取れています)持分までは要らないですよ」
「大丈夫ですよ」
その言葉にほっとして安心した私が間違いでした。
ローン特約の期日が迫り眠れない日が続く。
住宅ローンの申し込みから10日ほど経った頃です。
「すみません!前面道路の持分を少しでいいので譲ってもらってください。」と担当者から慌てたような電話が入りました。
聞けば本部からの指示で、持分が取れなければ決済は下せないとの回答でした。
その時には、承認も取り付けていたので建築請負契約も交わした後でした。
それから大変な毎日になりました。
(他の仕事が手に付きません…眠れなくなりました)
当時の開発業者社長は他界。相続人が5人。それも日本全国ばらばらに所在しています。
そのうちのお一方は、非協力的でした。
司法書士と二人三脚。朝から晩まで一緒です。
ローン期日の迫る中、遺産分割協議書に印鑑をもらうため悪戦苦闘の日が続きました。
悩みましたがこの件はお客様には伝えませんでした。
(間違った判断だったかもしれません)
しかし、信頼を裏切るようなことは絶対にしたくありませんでした。
司法書士と手分けして、5人の相続人とアポを取り面会を重ねました。
二人とも交渉の経験も少なく、知識も浅い駆け出しの若造でした。
ただ、お客様のことだけを思い、がむしゃらだったことだけ鮮明に覚えています。
(余談ですが、この時の司法書士は現在弁護士になられ活躍されています)
新築お祝いの席でおもわず涙がこぼれました。
立派な新築が建ち念願のマイホームを手に入れられたお客様。
お祝いの席に呼ばれた私の横に座られたお客様(お施主様)。
「あの時のこと知ってたんですよ、ありがとうございました。」
焼酎飲む手が止まり、気づけば涙を拭っていました。
あれから10年以上経ちました。今でもお付き合いは続いています。
あれ以来、道路に対しては異常なくらい神経を使います(*^^*)
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