明確なルールがない「事故物件」の告知について考える。
インターネットで「事故物件」と検索。
いろんなテーマに沿ったサイトや記事が出てきます。
事故物件をピンポイント表示するサイトも存在します。
大家さんとしては、決して他人事と看過することは出来ません。
事故物件に定義はない。
ちなみに「事故物件」とはマスコミ用語です。
俗称や呼称として使用されているだけであって、その定義はありません。
例えば、UR賃貸などでは「特別募集住宅」や「特別募集物件」などの用語を使用して入居募集をしています。
競売では、まれに「不自然死」という用語で表記されることがあります。
いつまで、何人目まで、告知しなければならないのか?
よく質問されることです。
万一、自分のマンションで自殺があった場合、いつまで告知しなければならないのか。
判例を見てみると、それぞれの事案に応じて判断が下されています。
⇒国土交通省に直撃したインタビュー記事が掲載されたコラムをご参照ください。
ご覧のとおり、「事故物件」に対する明確なルールは存在しないようです。
最終的には、家主の判断に左右されそうです。
ただ、いかなる場合も開示請求があったならば誠実な対応が求められることは言うまでもありません。
事故物件を調査する。その必要項目とは?
ここでは、色々な判例を踏まえて対象不動産が「事故物件」であった場合。
調査しなければならない項目をあげます。
・事件、事故の概要。例えば、自殺か、他殺か、焼身なのか。
・そしてそれらの手段はなにによってなされたか。
・死体の放置時間はどれくらいか。腐乱、腐食、悪臭等の周囲への悪影響はどれくらいあったのか。
・その事件の凄惨度
・ニュース報道等の有無、近所周辺は知っているか
・死亡場所、事件現場との接近性
・事件からの経過年数、風化の程度はどれくらいか
調査した項目内容に応じて、告知するべき「自分なりのガイドライン」が見えてきます。
また競売情報に置き換えて見てみます。
3点セットと呼ばれる物件調査書。この調査書に補正減価率というものがあります。
この減価率が大きいほど“事故”の内容による度合いが、反映されることになります。
・事件からの風化や近所の周知程度が低いほど減価率は小さい
・マンションやアパート等の集合住宅であれば、その事件発生の部屋からの距離が近いほど減価率が大きい
記憶に新しい尼崎のマンションでの殺人事件はその凄惨さ、残虐性、連日の報道による社会的不安の増幅が著しく、かなり大きく競売市場修正率が減価されています
最後に、警視庁の自殺統計(H28年度)によると、自殺の場所は「自宅」(58.8%)となっています。
大家として、このようなアクシデントに見舞われた時の、取るべき対処法も身に付けておかなければなりません。
※参考文献として不動産競売流通協会会報誌より引用
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